こどもとおとなのはなしあいin市議会議場~2023年度の提案は?
2023年9月2日(土)、立川市市議会議場で行われた「こどもとおとなのはなしあいin市議会議場」では、こどもたちから4件の提案発表がありました。
ここではその提案内容と質疑応答の模様などを紹介します。
※紹介は発表順です
チーム名:立川女子高等学校SDGirls
提案タイトル:ジェンダーをより身近なものにするために~考えてみようジェンダー平等~
提案内容
さまざまな人が個人の自由を尊重した社会を目指すために、「ジェンダー平等」はとても大切なことだと感じている。
いろいろな年齢の人に、この問題をもっと身近なものとしてとらえてほしいので、立川市の小中高校生(とその保護者も)を対象に、講演会と意見交換会を開きたい。
講師としてLGBTQの方を招いて話を伺い、その後意見交換をする。
また、事前に校内アンケートも行う予定。
予算は、チラシの印刷代、講演料、会場代などで3万円。
自分たちの身近で感じた「ジェンダー」問題を多くの人と共有したい。
女子高校生らしい視点と問題意識が光った提案内容でした。
発表を聞いたおとなから「女性が生きていくうえで不利だと感じることと、LGBTQの問題、どちらも“ジェンダー“の問題ではあるけれど、みなさんのチームはどちらに重点を置いてやりたいと考えていますか」という質問が出て、一瞬、考え込んでしまった5人でしたが、その場でさっと意見をまとめて、「両方やりたいです」と回答。
その答えに対して、おとなからは
・両方やるのであれば、講師もLGBTQの人だけでなく、女性差別のことを話してくれる人を呼んでみては?
・講演だけでなくワークショップ、対話型イベントなどいろいろな方法があるので検討を
・社会的マイノリティの人に関しては、立川市社会福祉協議会がやっている「ヒューマンライブラリー」をあたってみては?
等、さまざまなアドバイスがありました。
チーム名:第一学院の愉快な仲間たち
提案タイトル:ポイ捨て防止・低減と地域交流
提案内容
第一学院高校では以前から定期的に立川駅周辺の地域清掃活動を行っている。
その活動を通して感じたのは、ポイ捨てされたゴミが街の景観を汚し、人々を不快にさせるということ。また動物や海洋への影響など、さまざまな問題があるということだ。
この問題を解決するには、まず一人一人がゴミを持ち帰るのを当たり前にすればいい。
そこで、10月1日に行われる立川市の「環境フェア」に出展し、来場者に地域清掃活動で分かった立川市のゴミの現状を掲示物などで伝え、オリジナル携帯ポリ袋ケースを配布したい。
予算は、来場者150人を想定し、携帯用ポリ袋ケース、オリジナルシールなどで3万円。
こちらもさすが高校生! 何をやりたいのか、なぜやりたいのかが整理されていて、非常にわかりやすい提案発表でした。
おとなたちからも、「学校ぐるみでやっている地域清掃活動は素晴らしい取り組みですね」と絶賛されました。
環境フェアでは、クイズや展示物を通じて、幅広い世代にゴミの現状を伝えたいとのこと。
当日来場者に配る予定のオリジナルシールを貼った携帯用ポリ袋ケースは、サンプル品がおとなたちに回覧されました。
そのほかの意見としては
・立川市環境対策課とまだ話をしていないのであれば、「自分たちはこういうことをやりたい」とすぐに話に行こう
・「環境フェア」では携帯用ポリ袋ケース150個を配るということだが、その数はもっと多くしてもよいのでは?
・「環境フェア」終了後も、その結果についてどんどん発信していってほしい
等の意見が出ました。
チーム名:立川一中 生徒会本部
提案タイトル:SDGsに貢献! 規格外野菜や郷土食材を使って料理動画を撮ろう!
提案内容
立川市においてSDGsに貢献し、また立川市のPRにも繋がるように、市内で採れた規格外野菜やウドなどの郷土食材を集め、料理愛好家の方に料理を教えていただきながら自分たちで調理をして、その様子を立川公式YouTubeに投稿したい。
料理は、立川一中生徒会本部役員が校内の調理室で作る。
時期は、農家の方から聞いた“多くの廃棄野菜が出る時期“である11月中旬を想定。
予算は、材料費、料理愛好家の方への謝礼金、マイク代などで4万4400円。
中学生チームも、提案の根底にあるのはSDGsに貢献したいという思い。
提案内容も、みんなでしっかりと考えてきたのが分かりました。
この提案のきっかけになったのは、職場体験で「みのーれ立川」に行ったこと。
売り物にならない規格外野菜が廃棄されていることを知って、自分たちでも何かできないかと考えたのだそうです。
今回、規格外野菜を無償で提供してくださる「清水農園」さんも、職場体験先の一つ。
料理愛好家の候補として名前が挙がっていた井口さんは、家庭科の実習のお手伝いに来ていた方だということです。
また、制作した動画を立川市の公式YouTubeにアップしたいと考えたのは、立川市の「生徒会サミット」に参加し、「立川市はもっと街としてPRしたほうがいい」という意見が挙がっていたから。
企画全体を通して、地域連携が重視されている点は、おとなたちから高い評価を受けました。
一方ではこんな意見も。
・なぜ今これをやるのかという思いの中に“農家さんの話“が出てきたけれど、動画を制作するときはそこもきちんと入れ込んだほうが良い。
・予算の中で材料費3000円と入っていたけれど、これは調味料代などかな? 調味料はみんなが家から持ち寄ればよいのでこの部分は減らせる
・マイクは新しく購入することになっているけれど、この動画制作が終わった後はどうするのか、学校の先生などと相談しておくこと
チーム名:ホタルの飛翔
提案タイトル:ホタルを飛ばそう
提案内容
小学校でホタルを育て放流するイベントをやったときに、みんなで話し合いをして、放流しなくてもホタルがたくさん見られる環境にしようということになった。
そこで、来年の3月31日までに自然をよみがえらせる活動と、学校でホタルが育てられる環境を整える活動をしたい。
具体的には、①ゴミ拾い活動(羽衣町、ホタルが育ちそうな池や川など)、②ガニガラ公園や市の施設などに、ホタルを育てるために自然を大切にしようというポスターや看板を設置する、ということを考えている。
予算は、ホタル池の整備に使用する用具や、ポスターのラミネート加工などで約15万円。
「ホタルの飛翔」は今回唯一の小学生チーム。総勢10人で発表に臨みました。
小学4年生とは思えないほどしっかりと作りこんだプレゼンテーション資料を準備し、提案理由ややりたいことをハキハキと説明しました。
ところが、おとなから「学校のホタル池でホタルが育つような環境は作れると思いますか」と質問されると、みんなぼう然。しばし無言になってしまいました。
そこでおとなたちは、「では具体的にホタル池をどうやってそうじしようとしているのかな?」と質問を変えることに。やがておずおずと「草むしりをしたり、ホースで水を入れたりします」との答えが出てきました。
続いて、「ポスターや看板のデザインはどんなふうにしようと考えていますか」という質問に対しては、すでに手描きで作ってあったポスターを掲げて見せてくれました。
このチームの提案は、達成するまでに長い時間がかかります。
おとなからの質問は少し難しくて、なかなか答えられない場面が多かったけれど、具体的にいつまでに何をやるのかを整理すれば、3月末までにホタルが育つような環境は実現できないとしても、その夢に近づくことは確実にできると思います。
がんばってほしいですね。